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旅行・食べ物・音楽・映画などの覚書き。ワンコ生活もスタート。                        


by Melissa N.
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8月から見続けてきたのは。。。

8月から、戦争がらみの映画を見続けてきた。
といっても、日本映画は一本もないのだが。

まずは、フォルカー・シュレンドルフ監督のもの4本。
「ブリキの太鼓」があまりに有名で、大学生の頃、斬新すぎる描き方に
嫌悪感すら抱いたのだが、勇気を振り絞って(大げさ。。。)

魔王」は「ブリキの太鼓」に似たストーリー展開。
子供の心を持ったまま大人になった主人公だが、
ナチスドイツの下でしたたかに生きぬいてしまう。
聖クリストフォロスの伝説そのままに、
幼子を背負って戦火の河を渡っていくラストシーンは胸を打つ。

「9日目~ヒトラーに捧げる祈り~」は、これまた数奇な運命を描いた映画。

強制収容所から突然ルクセンブルグへ帰国を許された神父クレーマー。

しかし、実は彼には、9日間の間に大司教を説得し、

ナチスドイツに協力させるという任務が課せられていた。

収容所の同胞はもちろん、彼の家族にも命の危険が及ぶ中、

神の意志を貫くべきか、葛藤する。

今回、ドイツ将校が、微妙な立ち位置にあり、登場人物一人一人が

苦悩する姿に胸が痛んだ。

ラストにちょっと隠し球を仕掛けてあって、悲しいけれど、

にやっとさせてもらった。


シャトーブリアンからの手紙」は、ドイツ占領下のフランスで起きた
ドイツ軍将校暗殺の報復として、フランス人150人が銃殺された事件を映画化したもの。
たった一人のドイツ人が殺害された報復に、フランス人政治犯150人を銃殺せよ
という冷酷非道な命令を受け、ドイツ軍司令部に関わる様々な人が回避しようと
努力を続ける。しかし、結果は。。。
いかに非道な仕打ちとわかっていても、上層部に逆らえない軍関係者。
心の葛藤は、前作以上に辛く重くなっている。

最新作「パリよ、永遠に」は、唯一明るいラストが待っている。
第二次大戦末期、ヒトラーの命令により、パリ壊滅作戦が実行される運命に。
ドイツ軍パリ防衛司令官コルティッツは、悩みながらも実行の指示を出す。
そこにやってきたのが、中立国スウェーデン総領事ノルドリンク。
彼は思いとどまらせようと説得する。
この二人の駆け引きこそ、「外交」の神髄!
ノルドリンクの狡猾とも思える駆け引きは、外交官の鏡!
結局、コルティツは直前に回避、パリは生き残った。
武力ではなく、外交で、平和を引き寄せることこそ、
今の政治家や外交官に問われる力量だと思うだが。

続いて、アンドレイ・タルコフスキー監督のもの3本。
これも大学生の時、映画館で寝ながら観ていたので、
ストーリーが思い出せず、レンタルすることに。
このテンポ、やっぱり眠気に襲われたが、そこはDVD、巻き戻しでなんとか。
シュレンドルフのように明確なストーリーがあるのは「僕の村は戦場だった」だが、
映像の美しさと、斬新なカメラワークにばかり気を取られていた学生の頃に比べて、
主人公の心情が妙に納得できるようになったのは、歳のせいだろうか。
独ソ戦争については、全く詳しくないのだが、
戦争による心の傷をこんな形で表現できるのはタルコフスキーのみだろう。
テオ・アンゲロプロスよりも、はるかに深みがある気がする。

唯一日本が絡んでいたのは、「レイルウェイ 運命の旅路」。
英国人将校と日本人通訳との間に起こった実話をもとに映画化。
両者の心情を見事に表現していて、コリンファース、真田広之、ニコールキッドマン
という名優だからこそ、深みが増したのだろう。
「人は憎しみを断つことができる」というのだが、
理解できる人はこの世にどれだけいるのだろう。

その答は、「アメリカンスナイパー」で。
憎しみの連鎖は、永遠に続くと感じた。
米軍史上最高のスナイパーは、同胞に殺害された。
映画内でははっきりとした理由は語られなかったが、
多くの退役軍人が、体だけでなく心も病んでいるからだろう。
クリントイーストウッド監督の映画は、全て大好きなのだが、
今回だけは、彼もまたアメリカ人なのだとがっかりした。

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by melissan | 2015-09-24 22:56 | 映画