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旅行・食べ物・音楽・映画などの覚書き。ワンコ生活もスタート。                        


by Melissa N.
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All the king's men

毎度のこと、DVDになるまで待ってやっと見られました、この映画

ショーンペンのすごいところは、役になりきるけど、地のままのところ。
ミスティックリバー」では、思いっきりニューイングランド訛りで、
ボストンの貧困地域の住民を熱演し、(懐かしい響きでした)
この「オールザキングスメン」では、南部訛りで毒舌の政治家を熱演する。
でも、やっぱりショーンペンなんだなぁ。
彼のポリシーが役選びにも反映されているからでしょうか。
そういう意味では最近めずらしいタイプの役者さんです。

オリジナルは見ていないのですが、リメイクとは感じなかったです。
政治に限らず、いつの時代でも、波に乗る人っていますよね。
(英語ではcatch the wave「波をつかむ」と言いますが、そちらの方が
能動的な感じでぴったりな気がします。)
ちょっとしたきっかけでその波は大きくなり、多くの人を飲み込んでいく。
でも、波はいずれは岸に近づき、崩れてしまいます。
必死にあがき、最後は銃弾に倒れたウィリー。なんとも切ない。

その波に近づくのを恐れ、遠くから傍観していたのがジュードロウ演じる新聞記者ジャック。
でも、傍観しているつもりが、時に波に吸い込まれては
様々な人に影響を及ぼしてしまう。自分の実の父を自殺に追い込み、
親友を狂気へと走らせてしまう。そして、元恋人もからんで自分自身を大いに苦しめる。
これまた切ない。

熱意溢れる政治家が敵対勢力や腐敗した社会によって堕落し破滅して行く様を描いた
のでしょうが、私には南部の上流階級のデカダンスを描いたとも取れました。
結局人間は悪と善が交じり合う社会にバランスをとりながら適応していかなければならず、
それを拒絶して生きていくには常識を外れた感性を持ち続けなければいけないのかも。
でも、それは、時に狂気と思えることもあるのです。
by melissan | 2007-10-22 07:30 | 映画