旅行・食べ物・音楽・映画などの覚書き。ワンコ生活もスタート。                        


by Melissa N.
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象牙

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以前オーダーで作ったナンタケットバスケットのパース。
飾りは彼女の雰囲気にぴったりのゴージャスな「バラ」。
ナンタケット島のスクリムシャウ専門店で購入しました。

ナンタケットバスケットの蓋に象牙の飾りを施すようになったのは、
ホセ レイというフィリピン人の作家が、蓋つきバスケットを考案してから。
1940年代ですから、たったの70年前。
最初の飾りは素人目にも「お粗末」なものでした。
とはいえ、以来現在に至るまで、ナンタケットバスケットを高価なものに
しているひとつの要因はこの象牙の飾りにあります。

捕鯨は長期に及ぶので、船の上での退屈しのぎにさまざまな工芸が生まれました。
セイラーズバレンタイン(貝殻を敷き詰めた絵)や、このナンタケットバスケット、
そしてスクリムシャウ(当時は鯨の歯やセイウチの牙に行っていましたが)
などがそうです。ホセはその飾りに目をつけたのでしょうね。

そういったアメリカのスクリムシャウの歴史とは違って、
日本の象牙の歴史は古く、正倉院にも既に残されているくらいですし、
印鑑や三味線のバチ、帯止めなど、日本人には更になじみの深いものです。

しかし、象牙は1989年にワシントン条約で輸出入が禁止されました。
では、日本の象牙作家はどうしているのか?
老舗の象牙店は以前に大量に仕入れてあるものがあり、
(1999年に最後の日本への輸出が行われました。)
その在庫を大事に使っています。
昨年、アフリカでの監視体制が整ったということで、
保有されていた60万トンが日本に輸出されたそうで、
少しほっとしたのではないでしょうか。
しかし、輸入が許されたのは日本のみ。他国は相変わらず品薄の状態です。

アメリカで「アイボリー」と言うと、マンモスの牙、セイウチの牙、鯨の歯、
などいろいろなものを総称していることが多いです。
ちゃんとしたスクリムシャウンダーは当然購入前にその説明をするのですが、
してくれないところも多く見受けられます。
見た目にはほとんど区別がつかない上に、加工技術が未熟で象牙の
本来の美しさを引き出せていないからです。
d0106242_12265517.jpg
こちらもナンタケットで購入した
「白鳥」。デザインが気に入って
購入したのですが、
使用部位によってはくすんでいて、
加工の手間を惜しむと
光沢が出ないため、
象牙らしく見えません。

私はアラスカで、ネイティブインディアンの象牙のスクリムシャウを
見せてもらいましたが、ここの象牙は見事でした。
デザインはどうしてもアラスカの生き物になってしまうのが残念ですが。
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アザラシの胸の部分に
入っているのは、
象牙の化石化した部分。
この模様を、わざわざ
入るようにするには
かなり贅沢に象牙を
使わなければ。

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アザラシの鼻の部分や、
狼の胸の部分の模様も同じこと。
また、この狼の厚みはすばらしい!
これだけの厚みを取ることは、
希少価値の象牙ですから
かなりの勇気が要ります。
バーレーン(鯨のひげ)と象牙の使用を
許可されている彼らならではの作品。

ボストンで見かけるものは、それほどの光沢を持っていません。
一度、日本の象牙作家にボストンで500ドル(6万円)で購入したものを
見せたことがありますが、(もちろん、これはマンモスの牙と言われました)
「素人さんにしてはまぁまぁな出来だね。」と言われてしまいました。
最高の材料を最高の技術で加工する。そうでなければ、貴重な象牙が泣きますね。
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by melissan | 2008-04-29 09:16 |