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旅行・食べ物・音楽・映画などの覚書き。ワンコ生活もスタート。                        


by Melissa N.
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象牙 その2

ナンタケットには、ナンタケットバスケットの飾りとして需要があるからでしょう、
個性的なスクリムシャウンダーが何人かいます。
そのうちの一人が最近象牙を密輸したというニュースが入ってきました。

象牙 その2_d0106242_12325591.jpg
彼に初めて会ったとき、小さな骨董屋の奥で黙々と作業をしていて、
褒めると、はにかむように笑った顔が印象的でした。
なんとも愛嬌のあるくじらと、繊細な柄のスクリムシャウを買い求めると、
本当にうれしそうに「Thank you」と言って、でもすぐに作業に戻ってしまいました。
そんな誠実な姿が「職人」という言葉にぴったりでした。

ところが、数年後再度訪れた時、彼のほうから営業する態度に驚き、戸惑いました。
「日本から来たの?
ここにあるのは皆フォッシルアイボリーだから日本に輸入できるんだよ。
希望のものがあれば、注文してくれればすぐに作って送るよ。」
日本でナンタケットバスケットがブームになり、
多くの日本人が彼の作品を買い求めるようになったからでした。

小さな飾り一個で何百ドルにもなる象牙。
技術的に優れていても、そうそう売れるものではありません。
それが、爆発的に売れるようになったのですから、
大量に仕入れたかったのでしょうね。
海外の象牙作家は、材料を手に入れるのに本当に苦労しています。
しかし、やってはいけないこと。
彼の作品から輝きが失われたのはとても残念です。
by melissan | 2008-04-30 09:06 |